続・ヨーグルトメーカーで手軽に始める《自家製 米麹づくり》

前編からかなり時間が空いてしまいましたが、自家製米麹づくりの続編です。コロナショックで外出自粛要請が続くなか、《おうちで出来る美味しいエンタメ》として米麹づくりにチャレンジする人が1人でも増えたらいいな〜と思い、ようやく続編再開です!

 

ウイルスという《目には見えないもの》に恐怖や不安を感じやすい今。コウジカビという、同じく目には見えないけれど、味噌・醤油・みりんといったカタチで私たち日本人の食生活を支え続けてくれている素晴らしい存在にフォーカスすることは、失いかけた心のバランスを取り戻すのにもってこい!ではないでしょうか^^

 

▼前編ではヨーグルトメーカーでの製麹に使う道具について詳しく解説しています。

ヨーグルトメーカーで手軽に始める《自家製 米麹づくり》

2019.06.03

ヨーグルトメーカーで製麹(せいぎく)してみよう!

1. 洗米 → 浸漬

ではいよいよ米麹づくりの始まりです。タニカのヨーグルトメーカー・ヨーグルティアでは一度に米3合まで麹にすることが出来ますが、初めて作るときは2合がオススメ。量が多いとそれだけ各工程に手間取るので、作業の流れを確認する意味でも少量でスタートすると安心です。

最初の洗米は、炊飯時のように何度も研ぐ必要はありません。ゴミを軽くとる、くらいのつもりで2,3回水を変えてサッと洗い流すだけでOK。その後米をたっぷりの水に浸け、夏場で12時間、冬場なら24時間くらいしっかりと水を吸わせます。

 

この洗米→浸漬に、私はヨーグルティアのガラスポットを使います。ボウルより省スペースで、蓋もできて安心。冬だけどちょっと浸水を急ぎたい!なんてときは、そのままヨーグルティア本体にセットして25度くらいで保温すれば、時短にもなりますしね。

米がしっかり吸水したかどうかは、米粒を指先でつぶして確認。この作業を《カシを見る》といいます。軽く力を込めて米が粉々になれば、芯まで吸水した証拠。

硬い塊が残るようなら、粉々になるまで引き続き吸水させてください。吸水していない部分には、コウジカビの菌糸が伸びません......。

2. 水切り → 蒸し

米がしっかり吸水したら、ザルに開けて水を切ります。ザルを水平に置きっぱなしにしていると、底面が水に浸かってしまったり、中に水が溜まったままになったりするので、ザルを斜めに傾けて時々向きを変えながら、30分くらいかけてしっかり水切りしましょう。

私は四角いバットとザルのセット、空き瓶を使って、こんな風に水切りしてます^^

水切りが終わったら、麹づくりの要となる《蒸し》です。40〜50分ほど蒸し続けるので、途中で空焚きにならないためにも、ある程度容量のある鍋を使いましょう。鍋にたっぷりのお湯が沸いてせいろが蒸気で満たされたら、蒸し布に包んだ米をせいろにセットして、まずは強めの中火で40分。


米の量が多いときは蒸しムラをなくすために、途中で一度米を天地返しすると尚良しです。金属製の蒸し器を使う場合は、お米に水滴が落ちないよう、蓋の下に手ぬぐいや布巾を挟んでおいてください。

蒸しあがった後慌てないよう、待ち時間に次の工程の準備をしておきましょう。

  • ガラスポットとすのこを電子レンジ加熱で滅菌する
  • 種麹を計量しておく(米1合あたり0.5gを目安に)
  • 温度計やしゃもじ、タオルなどを準備しておく
  • 手を清潔にしておく

 

40分経ったら、一旦蒸し布を広げ米をひと粒取り出し、指先でつまんで引っ張ります。外側にグミのような弾力があり、中はお餅のように伸びる《ひねりもち》になれば蒸しは完了!

伸びないようならまだ蒸し足りないので、10分ずつ蒸し時間を延長してひねりもちが出来るのを確認しましょう。

3. 種切り

米がしっかり蒸し上がったら、いよいよコウジカビの胞子......種麹を植え付ける《種切り》です! 蒸米を風呂敷を敷いた台に広げます。私の蒸し布は水を吸わないテトロンという素材なので、蒸し布の上でそのまま作業をしています(単なるズボラ)。

木綿の蒸し布の場合、蒸した時点で布が水を吸っているので、蒸し布を外してお米を広げてください。米に水滴がついてしまうと、その部分はうまくコウジカビが育ちません。

 

せいろから取り出した直後のお米は80度前後ととても熱いので火傷に注意。ダイニングテーブルのうえで作業する場合は、テーブル表面を傷めないよう段ボールなどを敷いておくと安心です。しゃもじを使って広げて粗熱をとり、手で触れる温度になったら、両手を使ってお米ひと粒ひと粒をバラバラにほぐします。


45度以下になったら種切り開始。それ以上の温度で種切りをすると、コウジカビが死んでしまう可能性があります。種麹を茶こしに入れて蒸米に振りかけるとムラが出にくいです。

全部振りかけ終わったら、両手を使って米全体に種麹をすり込むように混ぜます。この時種麹がつかなかった米は麹にならないので、まんべんなく! お米が冷めてしまわないうちに、手早く完了させましょう。

4. 包み込み → 保温開始

種切りが終わったらお米を蒸し布で包んで、すのこを敷いたガラスポットにインします。木綿の蒸し布の場合、出来れば蒸した時に使ったものとは別の、乾いた布を使ってくださいね。


温度計のセンサーをポットの中心部に届くように差し込み、ガラスポットをヨーグルティア本体にセット。四つ折りにした厚手のフェイスタオルと外蓋を、ポットにかぶせるように置いたら32度で保温開始。保温時間は最長(ヨーグルティアSなら48時間)に設定しておくといいですね。

一時間後くらいに温度を確認し、中の温度(=品温、と言います)が30度を下回っているようなら、設定温度を34〜5度まであげておきましょう。やはり冬場は温度があがりにくいです。

ちなみに麹づくりでは、ポットの中蓋や取っ手付きの蓋は使いません^^

5. 保温開始から12〜18時間後

保温開始から半日は、そのまま放置で大丈夫。この期間にコウジカビの胞子が目を覚まし、発芽の準備を始めます。

朝の10時〜11時くらいに保温を開始したら、夜の22時〜24時くらい......寝る前に一度品温を確認し、ヨーグルティアの設定温度と同じくらいであれば、初回の手入れを行います。この時点で品温がまだ30度以下であれば、手入れはせずにそのまま保温します。

 

台に風呂敷を敷き、そのうえに蒸し布と米を広げます。このとき、麹特有の栗のような甘い香りがほんのり感じられれば、コウジカビの成長は順調! ほっこり温まって、塊になり始めている米を均一にほぐし、再度蒸し布で包みます。

米つぶの見た目は、肉眼で見る限り種切り直後とそう変わらず。表面に点々とコウジカビの胞子がついているのがわかります(夜なので写真が暗いです......)。

ガラスポット内に水が溜まっていれば捨て、水滴も清潔なキッチンペーパーなどで拭っておきましょう。最初と同じく、ヨーグルティア本体にポットを入れたら温度計のセンサーを差し込み、タオルと外蓋を乗せておきます。ヨーグルティアの設定温度はそのままでOKです。

 

保温開始から24時間前後、品温が36〜38度くらいになっていれば、1回目と同じ手順で2回目の手入れをします。コウジカビの成長に伴い、お米の見た目もまだらになりつつあります。

顕微鏡で見てみると、お米の表面に少し毛が生え始めてますね^^

6. 保温開始から32時間後〜

保温開始から32時間くらいで、3回目の手入れをします。菌糸が伸びて、お米同士がくっつく力も強くなってます。

この辺りからコウジカビが活発になり、自ら発熱を始めます。品温が45度を超えると《焼け麹》と言ってコウジカビが死んでしまう可能性があるので、ここからは状況に応じて

  • ヨーグルティアの設定温度を下げる
  • ヨーグルティアの保温をオフにする
  • ガラスポットを本体から出して常温に置く
  • タオルや外蓋を外す

など《温度の上昇をゆるやかにする工夫》をしましょう。温度計にアラート機能がついていれば、43度くらいでオンにしておくのがオススメ。設定温度になれば知らせてくれるので、すごーく安心♡

一旦温度があがってしまったら、手入れして熱を逃がすしかないので、その回数を減らす(=夜中に麹に起こされない・笑)ためにも温度のコントロールは超重要!

 

ここから出麹(麹の出来上がり)までを40〜43度でうまくキープし、手入れの回数を抑えることができると、でんぷんを糖に分解するアミラーゼという酵素がたくさん生成されて、甘みの強い発酵食品が作れるようになります^^

 

白米と玄米、麹づくりの違い

麹づくりに使うお米が白米ではなく分づき米や玄米だと、このあたりで温度がとてもあがりやすくなります。ぬかはコウジカビの養分、それが多いと分解時に出る熱も多いということ。白米麹と玄米麹、どちらも作ってみるとその違いがよくわかります。

マクロビオティックで、白米より玄米の方が身体を温める食べ物だと言われているのはこういう所以なんだろうな......と感じました^^

 

ちなみに玄米そのままだと、米の表面に硬い膜がある状態なので、コウジカビの菌糸が米の中まで伸びません。そのため玄米麹を作るときは、米の表面に何らかの方法でキズをつけるのだとか。

それであれば......と、私は精米機で分づき米にしてから麹づくりをしています。より玄米麹に近づけたいときは1分づき、普段は5分づき米で麹を作ることが多いです。

麹づくりでもお役立ちな精米機、一家に一台あると色んな場面でとても心強いですよ♡

お米の恵みを活用すれば、暮らしはもっと豊かでシンプルになる。

2018.03.22

7. 保温開始から48時間 → 出麹

お米の種類や気温にもよりますが、保温開始から4〜6回程度の手入れしながら、待つこと48時間。米のひと粒ひと粒が白くコーティングされ、モフモフしてきたら出麹(でこうじ)です!

栗のような香りがして、かじってみるとほんのり甘くなっています。温度や湿度が低い場合は、ここから更に数時間温度管理を続けることもあります。

ガラスポットから麹を取り出したら、塊をほぐして平らにし、熱と湿気を飛ばして《枯らし》ます。枯らしが終われば生麹の完成。ここからすぐに甘酒や塩麹を仕込むのに使うこともできます。

 

すぐに使わない場合、保存性を高めるために乾燥させます。私は干し野菜用のザルのうえに清潔な手ぬぐいを敷き、そこに麹を広げて干しカゴで2,3日乾燥させています。これで乾燥麹の完成です! この状態で冷蔵庫なら半年、冷凍庫なら1年は保存が可能です。

切って並べて、後はほったらかすだけ。ズボラ干し野菜のススメ

2018.03.23

麹づくりのお供に、おすすめアイテム!

麹づくりはとても奥が深く繊細なうえ、専用の道具が色々と必要になりそうだったため、長らく手を出すのを躊躇していた私。でも温度管理はヨーグルトメーカーに任せれば良いんじゃない?と気づいた時、目の前がパッと明るくなったんです^^

家にあるものを色々流用し、新しく買ったのは種麹と蒸し布だけ。ヨーグルティアだと一度に最大米3合分(米麹 約450g)しか作れませんが、私の場合それ以上の米麹を一気に使うのなんて、年に一度の味噌仕込みくらいなので十分です。

 

私は「甘酒が甘くなれば、それでオッケー!」というくらい、ユル〜く麹づくりを楽しんでいますが、もっとしっかり麹づくりを学びたい人にはこちらの本が超オススメ!

自然酒蔵で有名な寺田本家の元蔵人、麹文化研究家のなかじさんの《麹本》。2020年3月に出版されたばかりのこの本のなかでは、ステンレスバットと電気毛布を使った麹づくりの方法が丁寧に紹介されています^^ まさに麹づくりの教科書です!!

なかじさんは世界中で麹づくりを教えられ、オンラインサロン《麹の学校》も運営されています。私ももっと麹づくりを深めたくなったらお世話になる可能性大です(笑)。

 

そして目には見えないと言いつつも、微生物のなかでは大きい部類に入るコウジカビ。拡大鏡があればその成長ぶりを目で確認することができます^^ このハンディ顕微鏡ならスマホカメラを固定して、この記事に載せたような写真が撮れますよ。

前編で個別にご紹介した道具類のほとんどは、発酵マニア御用達?のネットショップ、かわしま屋でも購入が可能です。種麹に限らず、納豆菌やテンペ菌など様々な菌も販売されてますし、YouTubeでは米麹づくりの動画も公開されてますよ〜!

おわりに

時間も手間もかかるけど、こんなものまで自分で作れるんだー♡と発酵が一層面白くなる麹づくり。

一度細かく計算したことがあるのですが、お米の値段を1とするとだいたい市販の米麹は3、塩麹は9なんですよね。つまり、お米を自分で麹にし、その麹で塩麹を仕込めば9分の1の出費で済むということ! へーーそれなら作ってみようかな......って気になりません??(笑)


麹をたっぷり使った発酵食を食べることは、栄養補給&腸内細菌活性化にも繋がります。休校中のお子さんと一緒に麹づくりを楽しむことは、食育コンテンツとしてもオススメ! 微生物って怖いものばかりじゃないんだよ〜と、教えてあげてくださいね。

▼お子さんむけには小倉ヒラクさんの絵本もぜひ^^

麹の力をおおいに借りながら、このコロナショックを元気に乗り切りましょう♡


この記事を書いた橘花(kikka)ってこんな人
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