非常時に断水したら、トイレをどうするか。《バイオトイレ》を手軽に備えてみよう

先週の西日本豪雨による災害報道、被害状況が明らかになるにつれ胸がいたみますね……。私が住む北摂エリアも、地域によっては避難勧告・避難指示が出ていましたが、幸い我が家周辺では目立った被害がありませんでした。また保育園も休みにならなかったので、いつも通りの生活を送ることができました。

ですがつい先月の大阪北部地震といい、豪雨のさなかに千葉周辺で起きたM6.0の地震(夫はちょうど新幹線乗車中で、一時緊急停止したようです)といい、立て続く災害に嫌でも防災や危機管理の意識が高まります……。

大阪北部地震の翌日にアップしたこちらの記事【《実体験》ライフラインが途切れた時に、自宅生活を快適に送るコツ】も、とても多くの方にお読みいただきました。このなかで、私自身「これから備えなければ……」と思っていた《断水時のトイレ問題》、今日はこのことについてまとめてみます。

非常時に起こる、深刻なトイレ問題

非常時のために簡易トイレなどを備蓄されている方も多いと思いますが、断水が長引くとその後の「ゴミ」が大きな問題になります。ゴミ収集に来てもらえなかった場合、ゴミが溜まれば悪臭も出ますし不衛生です。阪神大震災のときは、避難所のトイレが手洗い場まで汚物の山になるほど、深刻な問題になったのだとか……。

今の日本で災害が起きても、色んな意味で餓死する確率はそう高くありません。食料を備蓄しなくてもいいという意味ではまったくありませんが、動物はみな食べたあとは必ず「出す」必要があります。非常時の食料については考えても、それを食べたあとに《自分が出すもの》をどう処理するかについては、私はお恥ずかしながら真剣に考えたことがありませんでした。

ここ書いたトイレ問題をはじめ、その解決方法のひとつとして《バイオトイレ》という方法があるということを教えてくれたのが、尊敬する友人・守田矩子さんです。


バイオトイレの仕組みとは

バイオトイレ(コンポストトイレ)とは、ウンチとおしっこをしっかり分離したうえで、ウンチを土に混ぜて微生物に分解してもらうという仕組みのトイレです

コンポストとは、堆肥のこと。その堆肥を作るための生ゴミ処理機のことを指して言うこともあります。生ゴミ処理機を改造してバイオトイレを自作する人もいるくらい、基本的な仕組みはよく似ています。

トイレの悪臭は、ウンチとおしっこが混ざることによって発生するため、しっかりわけてしまえば驚くほどニオイは出ないのだとか! 以前テレビで見かけた南極登山のドキュメンタリーでも、ウンチとおしっこをわけることがトイレのルールだと言っていました。下水設備のないところでは、それが常識なのでしょうか。

溜まったおしっこは、水で薄めれば畑に撒けるし、下水にも流しやすい。庭があれば穴を掘って埋めてもいい。ウンチを分解したあとの土は、やはり堆肥として使えるそうです。

私もまだまだ不勉強なことだらけですが、とにかくいざという時に《自分の排泄物で誰かを困らせない方法》を身につけ、準備しておきたい……。矩子さんの記事を読み、更に先月の地震を経験してからは、そんな風に思うようになりました。

普段から発酵食を手作りし、微生物たちの力強いパワーを目の当たりにしている者としては、バイオトイレの考え方はすんなり入ってきますしね^^

一番手軽にバイオトイレを備える方法

このバイオトイレ、ネット検索すると市販品や自作キットなどがヒットしますが、数万円〜20万円くらいとちょっといいお値段。今すぐ準備するにはややハードルが高いですよね。ですが実はとてもシンプルな道具で、簡易のバイオトイレを備えることは可能なんです。

そのために必要なのが、

  • フタつきバケツ2個(ウンチ用とおしっこ用)
  • ウンチを土に混ぜ込むための「スコップ」
  • ウンチを分解するための「土」

です。すぐにバイオトイレを試せるかどうかは別として、最低限必要なモノは揃えておこうと、地震後に色々調べていた私。いずれも平常時の使いみちは自由なので、自分好みのシンプルなものがいいな、と。

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私が購入したフタつきバケツは、これです↓

少しでもコンパクトに収納したくて、スタッキング可能なものを探していたのですが、このLike-itはMサイズとSサイズを買えば完全に入れ子にできるんです^^

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シンプルなステンレスのスコップは、Sサイズバケツの中に収まって、ちゃんとフタが閉められるサイズのものを。最初に買ったものは小さすぎて使いにくそうだったので、ひと回り大きなものに交換しました(笑)。

ではいざという時、このバケツにどうやって「出す」のでしょうか。中腰で大丈夫な人はそれでもいいですが《座面の小さい、背もたれのない椅子》がひとつあれば、座面に対してお尻を前後にずらして座り、その下にバケツを置いて受けることで対処できます

でも我が家のように、小さな子どもがいる場合は……? そう思ったとき頭に浮かんだのが、今もトイレで使っている「補助便座」!! ものは試しとMサイズバケツの上に乗せて軽く座ってみたところ、パコッと便座がハマりました!

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これなら子どもも快適に用を足せそうですし、小柄な大人の女性も、意外とこの方が安心できるかもしれません。キャラクターなどのない、シンプルなのを使っていてよかった……!(↓黄色のカバーは購入後すぐに捨てました・笑)

ちなみにこの補助便座を、Sサイズバケツに乗せるとこんな感じです。

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Mサイズのようにはハマりませんし、あまり安定しないので

  • おしっこは中腰でさせる
  • 親が便座とバケツを支えつつ、バケツ+便座で座らせる
  • おしっこ用のバケツもMサイズにする

など、より良い方法を検討する必要がありますね。我が娘たちは足腰がしっかりしてるので、中腰でも大丈夫そうかな……。

おしっこは力まなくても出せますが、ウンチは普段快便な人であっても、非常時には不調になる可能性があります。少しでもリラックスして「出す」ためにも、補助便座が使えることはとてもありがたい^^

これで次女が補助便座を卒業しても、当分非常時用にキープしておくことが決まりました(笑)。

バイオトイレの肝、「土」のこと

そしてバイオトイレの肝とも言えるのが、ウンチを分解するための《土》。手っ取り早く購入するのであれば、このエコパワーチップがおすすめです。

なのですが、実は私はまだこの土を買っていません。もっと身近なものを賢く利用する方法があるんじゃないかなという気がしてしまって。とはいえ今日明日災害が起これば困るのは目に見えているんですが……(苦笑)。

自分で土を用意するなら、どんな土が適切なのか。バイオトイレを制作・販売したり、バイオトイレづくりのワークショップを開催されている竹本ヤスさんによると

  • 乾いていて
  • 空気を多く含みフワッとした
  • 土のいい匂いがする=微生物が多い

ような土が最適です、とのこと。水分が多いと土の温度が下がり、分解力が落ちてしまうのです。おしっこを分ける理由は、そこにもあります。

身近なものでは

  • 米ぬか
  • コーヒーがら
  • おがくず
  • 落ち葉を砕いたもの

なんかもいいそう。特にコーヒーがらは消臭効果も期待できるので、毎日コーヒーを飲む習慣がある人は、天日干ししながら少しずつ溜めていけますね^^ 我が家では夫が秋冬に時々飲むくらいなので、当分溜まらないなぁ……。

でもうちは日々精米機を使うので、米ぬかならあります。 これまでは入浴剤として使ったあと、水回りの磨き掃除に使っていましたが、米ぬかがなければ掃除が出来ないわけではありません。なのでこれからは、お風呂で使ったぬかを広げて乾かして、バイオトイレ用にストックしていこうと思っています。

園芸用の土や庭の土はどうなのか?という質問も耳にしましたが、基本的に「土ならなんでもいい」そうです。が、ホームセンターなどで売られている土は消毒されている場合も多く、微生物は少ないかも……。

目の前にある土にどれだけ微生物が含まれているのかは、目に見えないのでわかりませんが、「微生物を足す」ことは可能です。私がコレは絶対いいに違いない!と目論んでいるのが、米ぬかやふすま(麦のぬか)をベースに、納豆菌や麹菌の仲間などの有益微生物を殖やしたバイオ洗剤【とれるNo.1】です。

これ実は、我が家でも万能洗剤《えがおの力》と並んで欠かせない、お掃除アイテムのひとつ^^

【とれるNo.1】の特にすごいところは、ニオイ汚れに強いこと! 石けんでいくら洗ってもとれない、ニンニクを剥いたあとの指先のニオイなんて、液体とれるをシュシュッとして揉み込めば一瞬で消えるんですよ……! もちろん加齢臭や男の子の衣類の汗臭さにも効果てきめんです。

▽こちらはとれるNo.1の総代理店、地球洗い隊の店長・小山田貴子さんのブログです^^

分解力に優れ、ニオイ汚れ(これも結局分解してくれているのですが)に強いとなれば、これはもうウンチの分解に向いているに違いない。しかも粉末タイプであれば、土に混ぜ込んでも温度を下げることはありません。

我が家はこの【とれるNo.1】を常備しているので、これがあれば結構どんな土でもツカエるんじゃないかな……と!!

野菜クズで分解力を検証しておこう!

ここまで色々考えれば、本当にウンチが分解されるのか、それにどれくらいの期間を要するのか等々、当然試してみたくなります。でも……ほんとにこのバケツにウンチするのか……と思うと、やっぱり勇気がいることは否めません。

「いざとなれば絶対やる」という自信だけはありますが、わざわざ普段試さなくても……と躊躇してしまうんですよね。しかもせっかく実験するなら、こうしてブログにあれこれ書き残したいですが、ウンチの写真を載せるわけにはいきませんし!(笑)

どうしたもんかな……と考えていたときに、ふと思いついたのが「野菜クズで検証してみればいいやん!」ということ。ウンチの70%は水分で、食べ物カスは10%程度と言われています。つまり分解のしやすさはウンチ>>>>>>野菜クズ。野菜クズが分解されるなら、その土は間違いなくウンチもOKなはず!

先ほど紹介した【とれるNo.1】を混ぜたときとそうでないときで、分解されるまでのスピードはどう変わるのかとか、「野菜クズで試せばいいんだ!」と思うと急に楽しくなってきたんですよね。よりウンチに近づけるなら、ブレンダーなどでペースト状にしてみてもいいかもしれないし……。

そしてこれ、子どもの夏休みの自由研究とかにもめちゃくちゃいいテーマじゃありませんか?? 夏は発酵や分解にはとてもいい季節ですし、娘が小学生だったら、絶対ガッツリ巻き込んでいたと思います(笑)。

というわけで私の実験・検証はこれからです。ひとまずベランダに放置してあるハーブ栽培用の古い有機土と、米ぬかをベースに始めてみようかな……。そして分解力が確認できたら、こっそりウンチでも実験してみます!(笑)

ここまで読めば、うちの庭の土って使えるのかな? あの古い鉢の土は? なんて気になってる方も多いかもしれません。ぜひバケツとスコップを買って、野菜クズなどで実験してみてください。その方が非常時にも安心ですしね^^

そんなん面倒くさいわー!という方は、エコパワーチップをどうぞ♡

【2018.07 追記】
ダンボールコンポストを実践されている発光(発酵)醸しLifeナビゲーターの泉野晶さんが、野菜クズが分解される様子について、Facebookでこんなコメントをくださいました!

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更に更に、ご自身のブログに書かれたダンボールコンポストの記事も教えてくださいました!

これから野菜クズで実験してみようという方には、とても参考になる情報ですよね……!(晶さん、ありがとうございました!!)

 

おわりに

普段は生ゴミ処理機として野菜クズを分解するのに使い、いざという時にはバイオトイレに変身してもらう。ローリングストックのように、平常時と非常時をシームレスで考えることって、災害大国日本では大事なことだと思うんですよね。

それもできれば「やらなきゃ!」という義務感からではなく、楽しく・快適に暮らしながら実践できる方法で。義務感だけでは、人は絶対に続けられませんから……。

災害の難から逃れられたのであれば、その幸運を機に何かひとつでも備えや知識を増やしていきたいですね。私もまた、実験結果をここで報告します! こんな風にしたら分解力あがったよ!こんなモノも土として使えたよ!なんて体験談があれば、ぜひ私にも教えてくださいね^^

最後になりましたが、西日本豪雨で亡くなられた方のご冥福と、行方不明の方が一日も早く見つかることを心からお祈り申し上げます。

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この記事を書いた橘花(kikka)ってこんな人