スローライフは楽じゃない。でもやっぱりとても魅力的だ《リトル・フォレスト》

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ひょんなことから知った、この《リトル・フォレスト》という漫画。主人公のいち子が、岩手県の小さな集落・小森(Little Forest)で自給自足のスローライフを送る様子を描いた、全二巻の作品です。

著者・五十嵐大介さんの絵はかなりラフなタッチだけど、ご自身も田舎暮らしの経験があるそうで、描写はとても力強く、リアル。田畑で作物を育て収穫したり、アイガモを解体したり、山菜や木の実で保存食を作ったり……。ところどころレシピも載っていて、食いしん坊にはたまりません。

スローライフは楽じゃない

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スローライフって、ある意味「生きるために暮らす」こと。決して楽ではないけれど、自然の恵みも厳しさも受け容れて、初めてたどり着く旨さや心地よさってものは、代えがたいものがあるのだろうなぁ……と、自給自足にはほど遠い暮らしをしている私は、作品を通して想像するしかありません。

特に深く刺さったのが、主人公の友人・ユウ太が言った、こんな台詞。

なんか小森とあっちじゃ話されてるコトバが違うんだよ
方言とかそういうことじゃなくて

自分自身の体でさ実際にやった事と
その中で自分が感じた事 考えた事
自分の責任で話せる事ってそれだけだろう?
そういう事をたくさん持ってる人を尊敬するだろ
信用もする

なにもした事がないくせに
なんでも知ってるつもりで
他人が作ったものを右から左に移してるだけの人間ほどいばってる
薄っぺらな人間のカラッポな言葉をきかされるのにウンザリした

(リトル・フォレスト 1巻 P122-123 より引用)

私は街に住んでいるし、どちらかと言うと「他人が作ったものを右から左に移してるだけの人間」に近い位置にいる。でもだからこそ、例えママゴトのようであっても、自分の手で野菜を干したり、発酵食を作ったりすることに「確かさ」を見出してるのかもしれない。

二巻で完結してしまっているのが名残惜しくもあるけど、毎年繰り返す営みが多いからこそ、これくらいのボリュームで収まってしまうのかな(笑)。

「リトル・フォレスト」映画版について

ちなみにこの作品は2014年に映画化もされています。Amazonプライム会員だと、プライム・ビデオで無料で見られるので、早速観てみました。

夏・秋編と冬・春編でそれぞれ二時間ずつ。淡々としたドキュメンタリーのようでもあるのだけど、四季折々の風景の映像が、とにかくとても美しい。主演の橋本愛さんからも、まっすぐなんだけど不器用な主人公・いち子のキャラクターがよく伝わってきて、とてもいい仕上がりの作品でした。

桐島かれんさん演じる、いち子の気まぐれな母親もイイ味だしてたしなぁ……。

私は梨木香歩さんの《西の魔女が死んだ》や、有川浩さんの《植物図鑑》のような【植物が身近にある暮らし】を描いた作品がすごく好きなのですが、このリトル・フォレストも、まさにそのど真ん中。
そういえばこの三作品、どれも映画化してるなぁ……。

ドタバタと疲れたときや、最近自然に触れられてないなーなんてときに、思わず見返してしまいそう。そしてその度に、お腹が空くに違いない(笑)。

おわりに……豊かさとはなんだろう

そういえばつい先日、たまたまこんなツイートを目にしました。

全然知らない方の言葉なのだけど、なんだか妙に納得……。

草木の名前を知っていることだけが豊かさだとは思わないけど、【豊かさとは、身近な自然に興味や感謝を感じられること】と解釈するなら、確かに一理あるなと思うのです。

知らない草を「雑草」と十把ひとからげに思っているうちは、それまで。でもひとたびその草の名前を知り、更に美味しくいただけたりすると「気づいていなかっただけで、私の周りはとても豊かだったんだな……」という気持ちがしみじみ湧いてくるのです。

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私も山野草の魅力にハマって、まだほんの少し。来月また少しだけ飛騨高山の義実家に帰省できそうだから、足を伸ばして初夏の味を山に探しに行ってみようかな……。

スローライフや田舎暮らしに憧れがある人は、ぜひ《リトル・フォレスト》を読んで・観てみてください。豊かさって何だろう……そんな問いが、ふと胸に浮かぶかもしれません^^

▼ゴールデンウィークは 野草をたくさん楽しみました。

[tm1]
この記事を書いた橘花(kikka)ってこんな人